読書部|2冊目「クララとお日さま」

読書部

4か月ぶりの読書感想文です(;^_^A
実用書はちょくちょく読んでいたんですが(と言い訳)…

2冊目は「クララとお日さま」(ハヤカワepi文庫、2023年7月25日発行)。
作者はカズオ・イシグロ氏(1954年、長崎生まれ)、訳者は土屋政雄氏。
イシグロ氏は5歳の時に渡英し、後に英国籍を取得しています。
2017年にはノーベル文学賞を受賞し、本書は受賞第一作だそうです。

Ishiguro book cover - Klara

本当はハードカバーが出版された時に買いたかったのですが、お値段と本の厚みに躊躇ってしまい…
ですから、文庫本を発見して即購入しましたとも!
しかし、長編を読むのは骨がボキボキでして(また言い訳)、1年以上寝かせておりました(*_*)

さてさて、本作品の主人公はクララ
“子供の成長を手助けするAF(人工親友)として開発された人工知能搭載のロボット”(文庫本の裏表紙より抜粋)です。
AI技術の発展が著しい昨今、まさに注目すべき作品と言えます。
そして、クララはある種のソーラーパワーで動いている様子。
再生可能でクリーンなエネルギー、なんと素晴らしいんでしょう!

このクララちゃん、良い子のプログラムが入っているのはマチガイないのですが、それにしても本当に気立ての良い優しい子なんです。
人工知能を持つロボットはこの物語の中でさえ高級品ですから、クララは長らく店頭で「友達」を待って、やっと裕福な家庭の少女ジョジーと出会えました。

クララは病弱なジョジーを支えつつ、人間の暮らし方を学び、2人の少女は友情を深めます
ちょっとだけ、「アルプスの少女ハイジ」のクララとハイジを思い出しました。
ハイジ役の名前がクララになっていて面白いですね。
ちなみに、近所に住むリックという少年が登場して、クララの友人になります。
これもペーターを彷彿とさせますが、設定は全く違いますのでご心配なく(笑)

そして、次第にジョジーの家庭の秘密が明らかになり、運命はクララに大きな決断を迫ります
クララはもちろんジョジーのため、そしていつの間にか「自分」のためにも、大人が思いもよらないことを考え、行動していきます。
何が運命でどんな行動かは書きませんが、クララはいつも「本気」でしたし、その気持ちに動かされて行動する人間も出てきて、ついにクライマックスへ!

大きく盛り上がっただけに、物語の終わりは寂しくて、いろいろ考えさせられました。
具体的なことは控えますが、イシグロ氏から現代社会への問題提起だと思います。

人間は命を持つ自らを、ロボットより遥かに尊いものと、当然のように位置付けています。
もしロボットに心があったとしても、それは単なる人工のプログラムの産物だから、という声が聞こえてきますが、人間だって大きく考えれば遺伝子のプログラムに従って生きています
もちろん、命の有無はそれぞれの感性に大きく影響するでしょうから、必ずしも同じ取り扱いが良いとは限りません。
問題は、心を持つ者同士の関係をどう扱えば、お互いの心が安らかなのか、だと思います

この本のごきげんポイント

  • 久しぶりに、SFの魅力にどっぷりとハマることが出来ました。
  • たとえ人間とロボットでも、とにかく女の子同士の関係って複雑、と思い出しました。
  • AI技術やロボットと人間の未来について考えさせられました。

これで大手を振って本屋へ行ける
次は何を読もうかな?

タイトルとURLをコピーしました